腸の中には約100種類、約100兆個もの腸内細菌が棲みついています。総重量は1キログラムにもなります。腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌に大きく分けられます。善玉菌は腸内で発酵を進め、悪玉菌は腐敗を進めます。日和見菌は腸内の環境によって善玉菌にも悪玉菌にも変化します。
善玉菌はビフィズス菌をはじめとした乳酸菌などで、発酵することによって腸内を酸性傾向にしていきます。善玉菌は酸性傾向では増えやすくなっていますが、腸内細菌の総量はほぼ決まっているので、善玉菌が増えるほど悪玉菌は減っていくことになります。また、悪玉菌は酸性傾向では働きが弱まるので、ますます善玉菌は働きやすくなります。日和見菌は酸性傾向にあると善玉菌の働きをするようになるので、さらに腸内の状態がよくなっていくわけです。
善玉菌が増えると便は黄色くなり、臭いが弱くなり、便量が増えるようになります。逆に、悪玉菌が増えた場合には便は黒くなり、臭いが強くなり、便量も減っていきます。臭いが強くなるのは悪玉菌によって腐敗が進んでいるからですが、便の臭いが強くなっているときには、腸内ではアンモニア、硫化水素、インドール、スカトールといった悪臭を発する有害物質が多く作り出されています。
これらの有害物質は腸壁を刺激するだけではなく、大腸から水分が吸収されるときに一緒に吸収されて血液中に入ります。そして、肝臓に運ばれて解毒、分解されなかったものは再び血管に入って全身に運ばれていくことになります。このことが、さまざまな体調不良に結びついているのです。便秘をすると肌が荒れるのは、この有害物質が皮膚細胞まで運ばれて悪影響を与えている証拠とされます。
有害成分は揮発性があり、血液中に入ると全身を巡っていき、口臭や体臭の原因にもなっています。便秘をすると口臭や体臭が強くなる、と言われるのは有害物質が多く発生しているからだったのです。
若いときには胃液と十二指腸での腸液(胆汁酸など)の分泌が盛んですが、年齢につれて減っていきます。胃液と腸液は強酸性で、分泌量が多いと腸の中は酸性に保たれています。しかし、分泌量が減ってくると腸の中はアルカリ傾向になっていくので、悪玉菌が増えやすい腸内環境になっていきます。
また、高齢者の場合には、食事量が減り、硬い物を食べる機会が減ってくるので食物繊維の摂取量が減ってきます。高齢者は腸液の分泌量が減ってきて、脂肪の分解能力が低下するために肉食が少なくなる傾向にあります。それにも関わらず高齢者の便は臭いが強くなるのは、腸内のアルカリ化と食物繊維の減少があるからです。